トワ物語

バーニーズマウンテンドックの生涯

誰のお家?ー35章

空港を出発して30分くらいたったのかなぁ〜 田んぼの中の一軒のお家に着いた。 ココはどこなんだろう? 知らないお家ではいい子でいるように言われている。 だからお父さんとお友達のお話が終わるまで、 退屈だけどジッといい子にしていた。 お父さんがお外…

快適な空の旅ー34章

シドニーで一泊して日本に向かった。 一人のお泊まりは初めてだ。 お世話してくれたお姉さんが、朝お散歩に連れて行ってくれた。 いい子にしてようと決めたので、嫌いなお散歩もお付き合いした。 空港でゲージに入る時に、 「大丈夫、大丈夫、心配しないで」…

二回目の一人旅ー33章

私のフライトスケジュールがやっと決まった。 朝のピックアップの予定が、 フライトの都合で夜中の3時に変更になった。 お母さんは寝過ごさないように、 心配で3時まで寝ないでいた。 「トワちゃん、起きて」 爆睡中の私に優しく声をかけてくれた。 なんで…

引越しー32章

オーストラリアの電気製品は日本では使えない。 家具もベットも狭い日本の家には合わない。 だから処分するのに、 ガレージセールをしたり、お友達に譲ったりと大忙しだ。 お母さんはご本をいっぱい持っていたけど、 大切な本だから捨てるには忍びなく、 お…

日本行きの準備ー31章

日本のお家の受け入れ準備に お父さんが一足先に日本へ飛び立った。 お母さんは引越し準備で大変だ。 まず最初に私の飛行機の予約をしてくれた。 ジェットスターは動物のカーゴは扱っていない。 ゴールドコースト空港から成田直行は無理みたいだ。 ブリスベ…

FXで破産したオーナーー30章

日本の今のお家は、 お父さんが1年前に不動産サイトで見つけた家だ。 予算オーバーだったから とりあえずお気に入りに登録だけしておいた。 半年後にチェックしたらまだ売れていない。 さらに、売値が500万円も下がっていた。 お父さんとお母さんはビックリ…

不動産投資の授業料は高かったー29章

お父さんとお母さんは、 オーストラリアで不動産を何回も買ったり売ったりしている。 サーフィンが好きだから、 海から道路一つ入ったユニットを買った。 そろそろ売り時と思って売却したら、 その三年後に5倍になって、とても悔しい思いをした。 ゴルフ場…

どこに住む?ー28章

お父さんとお母さんは、 一度も海から離れた場所に住んだことがない。 日本は周りを海に囲まれた国らしいから、 この希望は問題なさそうだ。 思いっきり走れる広いお庭があって、 ワンワン吠えても近所迷惑にならない ポツンと建っているようなお家がイイな…

大プロジェクト始動ー27章

日本というところは随分と遠い国で、 ココと季節が逆らしい。 フサフサの冬毛になった時に連れて行かれても すぐに毛なんて抜けるものじゃない。 ヤバい!! そんな私の不安をよそに、 お母さんがお仕事の手仕舞いに取り掛かりだした。 いよいよ日本への引越…

日本てどんなところ?ー26章

お母さんのお仕事は、 お客様の一生に関わるとっても大変な仕事らしい。 お仕事を受けると完了するまで1年以上かかるようだ。 もし日本へ戻るとなると 1年も2年も前から準備をしないといけない。 そこでお父さんは考えた。 私と二人で日本に行くことを。 で…

潮時ー25章

このお家に来てアッと言う間に一年が過ぎた。 お姉ちゃんは小さい時に目の大手術をしたけれど、 私はお医者さんの厄介にやったのは下痢ピーくらい。 あれは辛かった。 ご飯食べれなかったもん。 この頃、 お父さんとお母さんが真剣にお話をする事が多くなっ…

お食事ルーティンー24章

「ドックフード食べてくれたらどんなにラクか」 、とぼやきながらも お父さんは毎日3時半になるとお湯を沸かす。 チキンを一口大に切り、 お湯の中に入れ、 アクを取り除き、 火が通ったらザルにあげて人肌に冷ます。 拾い食いはダメ、と躾けられた私。 お…

お父さんの誤算ー23章

おネエちゃんのご飯は毎日牛肉1kgだった。 牛肉が安いオーストラリアとはいえ、 365日となると家計への負担は重すぎる。 そこでお父さんは学習した。 私をドックフードで育てようと! 「ドックフード食べてくれてよかった」 二人の囁く声を私は聞き漏らさな…

千客万来ー22章

お父さんとお母さんのお友達が、 いっぱい私に会いに来てくれる。 トワちゃん可愛いとか、 トワちゃんいい子だねぇ〜、 、と言われるのが大好きだ。 尻尾を思いっきりフリフリし、 飛びかかったり、 お顔をペロペロしたり、 お庭で遊んでもらったりする。 愛…

隠れ家のようなお家ー21章

私のお家には呼び鈴もインターホンもない。 門から玄関までのエントランスが長いので、 呼び鈴が鳴っても門まで行くのが面倒だから、 取り付けてない、 というワケでもなさそうだ。 間口が狭くて両脇には木が鬱蒼と生えていて、 どんなお家でどんな人が住ん…

ピーちゃんの自立ー20章

しばらくピーの姿が見えないと思っていたら、 忘れた頃にまたピーが現れた。 今度は堂々と家の中に入ってきて餌をおねだりした。 ついでにウンチまでしていった。 私だってちゃんとお外でするのに、 新米のくせに図々しい。 それからというもの、 2、3日お…

先客の居候ドンちゃんー19章

我が家にはピーが現れる前からドンという居候がいる。 私はドンとお外でよく追いかけっこをする。 でもすばしっこいドンにはいつも負ける。 お母さんと私の二人の時に、その事件は起きた。 私がお外でウトウトしていた時、 突然お母さんの叫び声を聞いた。 …

負傷したピーちゃんー18章

ピーはちゃんと飛ぶことができない。 歩く時もぴょんぴょんと片足で飛び跳ねる。 右側の羽が左よりも短いみたいだ。 右の足にも傷を負っている。 きっと私を脅かすあの黒い鳥にやられたんだ。 ある日ピーがピョコタンピョコタンとお家の中に入ってきた。 お…

侵入者ー17章

お庭は冒険もあれば驚きもある。 ドキドキでワクワクの世界だ。 勢いよく低空飛行してきて、 耳元で嘴をぱちっと鳴らして脅かす あの鳥達には参っている。 隠しておいた骨がいつの間にか失くなっている。 犯人は絶対にあの鳥達に違いない。 悔しいけれど要領…

お母さんのお仕事ー16章

お母さんは朝早くから夜遅くまでお家にいない。 法律関係のお仕事をしているらしい。 毎日クタクタになって帰ってくる。 時にはイライラして、お父さんに八つ当たりする。 そんな時は、私もお父さんも触らぬ神に祟りなしで、 さっさとお散歩に出る。 お母さ…

お父さんのお仕事ー15章

そろそろお父さんとお母さんの紹介をしよう。 お父さんはお絵描きするのがお仕事だ。 でも今は絵は描いていない。 オーストラリアでちょっと有名なゲーリーさんという漫画家がいる。 彼が新聞に連載している四コマ漫画のキャラクターを使って、 日本でお洋服…

失恋ー14章

好きな犬と相性が合わない犬がいる。 キャンキャン吠える小さい犬は苦手だ。 小さい犬とお散歩で遭遇した時は無視することにしている。 そうは言ってもお散歩していると、 いろいろな犬と出くわしてしまう。 だからお散歩は面倒くさい。 そんな私にボーイフ…

吠え方のルールー13章

私は滅多に吠えない。 お父さんとお母さんは、声が出ないんじゃないかと心配していた。 最初に吠えた時の二人の顔を今でも忘れられない。 驚いて目が点になっていた。 えっ、まずかった? 、と思わずスマなそうな顔をしてしまった。 これからはビックリさせ…

お母さんの後悔ー12章

お母さんに抱っこしてもらえたのは、ほんの短い間だった。 生まれて2ヶ月でこの家に来たんだけど、 その時でもお母さんは、抱っこするのがやっとこさだった。 1ヶ月も経たないうちに、お母さんはギブアップだ。 「こうなっちゃう前にもっと抱っこしておけ…

女の子です!ー11章

道で会う人みんなが私のことを 「Good boy」という。 私、ボーイじゃなくてガール! お父さんもお母さんもはじめの頃は 「女の子なんですヨォ〜」 と訂正してくれてたけど、 それも面倒になったのか、 赤いリードを買ってくれた。 これでバッチリ!! 、かと…

後悔先に立たずー10章

どうも私の名前はトワというらしい。 お父さんもお母さんも私の方を向いて、トワちゃんと言っている。 トロピカーナの方がオシャレだけど、別に気にしない。 昨日は長旅の疲れもあって、 ご飯を食べた途端に爆睡してしまった。 よく寝たので今朝は絶好調! …

完璧な躾ー9章

ダダダッ! 新しいお家の中に入った途端、 ソファーベットの下に潜り込んでしまった。 それからはココがお気に入りの場所になった。 長旅でお腹はペコペコで、お口の中もカラカラだったから、 いっぱい食べて、お水もいっぱい飲んだ。 大丈夫!! おしっこと…

新しいお家へー8章

お父さんに抱きかかえられて駐車場に向かった。 お母さんがお皿にお水を用意してくれた。 喉は渇いていたんだけど、 ゆっくりと落ち着いて飲む気になれなかった。 私は誰、ココはどこ? 広い駐車場の真ん中にポツネンと座った時、 どこまでも続く果てしない…

トワとの別れ by 母

今日書こう、明日書こうと思いながら 1週間が過ぎてしまいました。 やっと気持ちも落ち着いたので、 お知らせすることができます。 トワが9月7日の11時に永眠しました。 朝から息が突然できなくなり、 病院までなんとかトワは頑張ったのですが、 いろい…

初めての一人旅ー7章

(サイトより転載) どの位飛行機に乗っていただろう。 とってもとっても長い旅だったような気がする。 ずっと寝てたからよくわからない。 ブリスベン空港に着いたのは8月の寒い朝だった。 ガタガタが止まった。 スッ〜と体が上に持ち上がった感じがして、 …