隠れ家のようなお家ー21章
私のお家には呼び鈴もインターホンもない。
門から玄関までのエントランスが長いので、
呼び鈴が鳴っても門まで行くのが面倒だから、
取り付けてない、
というワケでもなさそうだ。
間口が狭くて両脇には木が鬱蒼と生えていて、
どんなお家でどんな人が住んでいるのか、
道路からは皆目見当がつかないような家だ。
そこが気に入って買ったらしい。
まるで隠れ家のようなお家だ。
だからご用がある人しか来ることができない。
お父さんもお母さんも別段人間嫌いではなさそうだ。
ただ人と会うのが面倒臭いだけなんだろう。
しかし私がこの家に来てから、
そんな静かな生活は一変することになる。
つづく