引越しー32章
オーストラリアの電気製品は日本では使えない。
家具もベットも狭い日本の家には合わない。
だから処分するのに、
ガレージセールをしたり、お友達に譲ったりと大忙しだ。
お母さんはご本をいっぱい持っていたけど、
大切な本だから捨てるには忍びなく、
お友達に引き取ってもらったりした。
お父さんは、お気に入りの自転車だけは持っていくと言った。
お母さんは、食器戸棚だけは手放したくなかったみたいだ。
そんなこんなで結局、
ダンボールが85個になってしまった。
荷物が運び出された後のお部屋は、
ガラぁ〜んと寒々しい。
お父さんは引越し準備に一度戻ったけど、
すぐにまた日本に行ってしまった。
何もないお部屋でお母さんと二人だけで、
最後のオーストラリアでの数日間を過ごした。
荷物の次は私の番だ！
つづく
日本行きの準備ー31章
日本のお家の受け入れ準備に
お父さんが一足先に日本へ飛び立った。
お母さんは引越し準備で大変だ。
まず最初に私の飛行機の予約をしてくれた。
ジェットスターは動物のカーゴは扱っていない。
ゴールドコースト空港から成田直行は無理みたいだ。
なんだか大変そうだ！！
お父さんもお母さんも忙しそうなので、
迷惑かけないようにいい子にしていよう。
私もいろいろと準備がある。
お医者さんでチップを埋め込んでもらった。
国際線の飛行機に乗る条件らしい。
この際だからついでに、
コリコリの背中のこぶ取ってもらった。
そんなに大きな脂肪の塊じゃなかったのに、
背中の半分も毛を剃られてしまった。
参ったなぁ〜！
飛行機に乗るまでに目立たなくなるといいんだけど？
ハゲハゲは恥ずかしい。
つづく
FXで破産したオーナーー30章
日本の今のお家は、
お父さんが1年前に不動産サイトで見つけた家だ。
予算オーバーだったから
とりあえずお気に入りに登録だけしておいた。
半年後にチェックしたらまだ売れていない。
さらに、売値が500万円も下がっていた。
お父さんとお母さんはビックリ。
ラッキー！！
世の中には同じことを考えている人はいるもんだ。
壊れている部分を修理し、
壁紙を張り替え、
完璧な状態での引き渡し、
それが競合相手の契約条件。
そこでお父さんとお母さんは、
『現状引き渡し』
という条件を出した。
「ところで何でこの家を手放すんですか？」
「大きな声では言えないんですが・・・」
、と不動産屋さんが切り出した。
二代目のボンボンがFXで失敗して、
親から受け継いだ不動産を手放して、
それでもにっちもさっちもいかず、
とうとう自分の住んでいる家も売る羽目になった。
これを聞いたお父さんとお母さんは、
膝を叩いた。
「アパートの礼金と敷金をこっちで払いましょう」
即金が必要なボンボンは、
さらに300万円の値引き条件も喜んで承諾してくれた。
ヤッタねぇ！！
日本のお家を買ったはいいけど、
オーストラリアのお家はどうするんだろう？
まだリノベーション終わってないのに・・・
つづく
